研修医生活 おすすめ本(画像診断編)
こんにちは。
勢いが消える前に画像診断編に早速取り掛かかりました。
今回は画像診断です。
研修医生活を終える上で必要なもの+αという視点で紹介していきます。
書き終えてから思いましたが、わざわざ画像診断の勉強のための本で必須と言えるものなんてほとんどありませんでした。
ので、後半は僕の趣味に近いです。笑
ちなみに、骨折に関しては病棟・救急外来編で紹介した2冊がお薦めです。
↓
ではいきます。
■全般的におすすめ
1. レジデントのためのやさしイイ 胸部画像教室
まずは定番です。
とにかく易しく・読みやすく、情報量もちょうどいいです。
呼吸器内科ローテ前に読んでおけばだいぶ抵抗がなくなると思います。
というか多分これ1冊読んでおけば胸部レントゲンに関してまず怒られるようなやらかしはしないと思います笑
ひと昔前は「フェルソン 胸部X線写真」が定番的な存在だったようですが、やさしイイシリーズの方が圧倒的にわかりやすいです。
1'. レジデントのためのやさしイイ 呼吸器教室 第3版
これは画像診断ではありませんが紹介させてください。
1番の本の姉妹本というか親子本というか、画像に限らない呼吸器全般の本です。
2冊を読むことで相補的に働くので、買うなら2冊とも買うことをお薦めします。
これもとてもわかりやすいです。
2. やさしイイ 胸部画像教室 実践編
おい、似たようなもの何冊あるんだよって感じですかね笑
これは2021年に発売された新しいものです。
ひたすら胸部X線100枚を見て所見を拾い上げる本です。
診断は?とか、異常は?という問題形式というよりも、
なんの書き込みもない胸部レントゲン写真1枚で1ページ使われており、撮影条件・横隔膜の高さ・骨軟部陰影・気管の偏移などを自分で判断し
次のページを見るとそれらの項目のそれぞれの"答え(撮影条件:立位正面、横隔膜の高さ:正常範囲など)"とその画像の患者さんのCT画像と共に解説があるというスタイルです。
実臨床でもできるトレーニングではあるので、あまり胸部レントゲンをしっかり吟味してレクチャーなどしてくれる上級医がいない方向けな気がします。
3. 画像診断に絶対強くなる ワンポイントレッスン
この2冊はレジデントノートの連載コーナーを書籍化したものであり、「ヘェ〜」という内容もあるので同期に話したくなるようなことが書かれています。
ただしあくまでワンポイントなので、ちょっとしたトリビアやピットフォールが羅列されているイメージです。
なのであまり系統立てて勉強する本ではありません。
4. 画像診断を学ぼう
なにこれ?見たことないよ?と思われるかもしれませんが名著だと思います。
1冊のカバー範囲が広く、かつ内容の深さも十分すぎるほどです。
頭部、頸部、胸腹部はもちろん、骨折や脱臼などの整形外科領域、異常石灰化や骨密度の低下などの異常所見単独で1章設けたりと贅沢な1冊になっています。
海外の本ですが、あの翻訳本独特の読みにくさ・不自然な日本語はほとんど見られません。
空き時間に読むものとしては、1番と4番だけで良いのではないかとも思います。
5. 画像診断ドリル
レジデントノートの増刊号です。
基本的にレジデントノートの増刊号は良い本が多い気がします。
頭部、頸部、胸部、腹部、整形外科、チャレンジ問題という構成になっており、それぞれクイズ形式になっています。
必須の知識ではないかもしれませんが、全分野でレベルが高すぎず低すぎず、非常に勉強になりました。
6. CT読影レポート, この画像どう書く?
これは2019年11月に発売されたものです。
発売当初はAmazonで売り切れ期間があったような記憶があります。
タイトルからわかる通り、放射線科レポートっぽい所見の書き方が載っています。
240ページと画像診断本の割にはページは少なく、しかも頭部、胸部、腹膜,肝胆膵脾、泌尿生殖器、腸管、血管,血腫、リンパ節をカバーしています。
各章で初めに解剖の復習もあるのでこれ一冊でも十分完結した勉強ができると思います。
さて正直なところ、胸部以外の各領域の画像診断で研修医生活にちょうどいいもの(=赤字で紹介できるもの)はないのが現状です(多分)。
それを踏まえた上で、各領域で一応紹介していきます。
■頭部
7. 頭部救急のCT・MRI
タイトルの通り、頭部の中でも救急疾患に特化したものです。
研修医ならば頭部画像は救急外来で逃げられないので一応載せておきます笑
救急がテーマなので変性疾患は載っていません。
画像のクイズではなく疾患別にTipsが記載されています。
脳梗塞はⅥ章ですが、脳梗塞だけで150ページ近く割かれているのがすごいですね。
8. 画像診断2018年増刊号 頭部の画像診断のポイント
月刊誌の「画像診断」の増刊号です。
月刊誌あるあるかもしれませんが、増刊号はハズレが少ない気がします。
こちらは所見から鑑別疾患が羅列されています。
造影でリング状濃染をきたすもの、というと国試的にはメタ、膠芽腫、脳膿瘍と覚えますが、ここには他にも9つ鑑別疾患が載っていたりします。
研修医にここまで求める上級医は少ないと思うので、神経内科や脳外科、放射線診断科志望などでなければまず不要かなと思います。
(僕は画像診断が好きなので買いました)
9. 神経内科疾患の画像診断 第2版
めっちゃ分厚い辞書です。
なにそれ?みたいな疾患までカバーしています。
完全に趣味です笑
■胸部
10. 誰も教えてくれなかった 胸部画像の見かた・考え方
1番を読んでからがおすすめです。
1番の本を読んでなんとなくわかったような気でいたのですが、これを読んで「まだこんな深い世界があったのか〜」ってなりました笑
完全にプラスアルファの内容ですが、ここまで読み切ると胸部レントゲン読影が楽しくなります。
11. CTパターンから理解する 呼吸器疾患(呼吸器志望なら緑)
胸部CTに特化している本です。
びまん性粒状影、広義間質を主座とする病態、びまん性すりガラス陰影などそれぞれの画像パターンから多くの鑑別疾患とアトラスが記載されており、8番の本の呼吸器疾患バージョンといったところでしょうか。
胸部画像診断は分厚い本がたくさんありますが、これは500ページであり比較的コンパクトです。
呼吸器志望であればおすすめです。
12. 画像診断2021年11月号 なぜによくわからない間質性肺炎―疑問と悩みにお答えします―
まさに全研修医が一度は真剣に勉強して嫌になる間質性肺炎を取り上げている号です。
「分類やパターン分けにはどんな意味があるの?」、「どうだったら間質性肺炎?そもそも間質性肺炎ってなに?」
といったテーマで書かれており、こちらは増刊号ではないので薄く、読みやすいです。
もっと詳細に書かれているのが増刊号である「解剖と病態生理から迫る呼吸器画像診断」です。
■腹部
13. ここまでわかる急性腹症のCT 第3版
7番の腹部バージョンって感じです。
表紙がかなり古臭いのですが、一応2018年発売です笑
急性腹症をきたす疾患を取り扱っているので消化器に限らす大動脈、泌尿器、産婦人科領域までカバーしています。
疾患というかジャンル別にケースが分かれている感じなので、空き時間に読むタイプです。
14. レジデントのための腹部画像教室
系統としては1番と同シリーズにあたるのかもしれませんが、著者は違うので毛色が少し違います。
液体貯留、消化管拡張、脂肪組織の乱れ、など、所見ごとに解説、鑑別疾患などが記載されています。
画像を見て考えながら参考にするのはこちらが最適かなと思います。
ちなみに小児版もあり、一応読みましたが、小児の腹部画像を見る機会がそもそもないためあまり役立っている実感が湧きません…。
15. 画像診断2021年 増刊号 ビギナーのための腹部画像診断
Q&A形式でいろいろな疑問への回答が載っています。
例としては
・肝内に多発する低吸収域をみた時の鑑別はなんですか?
・病的なpneumobiliaはどのように判断したら良いでしょうか
・胃潰瘍や十二指腸潰瘍はCTで見えますか?
など。
必須の知識ではありませんが、ふと疑問に思うようなことがたくさん書かれておりおすすめです。
■その他
16. 画像診断2019年増刊号 救急疾患の鑑別診断のポイント
タイトルの通り救急疾患の画像診断です。
特に領域は定まっていませんが、ほぼ胸腹部領域の所見別に11章に分かれています。
13番の本の親戚のような本です。
脈管ガス像、消化管内の高吸収、脈管外ガス像、脂肪織濃度上昇、高腹膜軟部組織の異常陰影、などがテーマになっています。
17. 画像診断2020年増刊号 似て非なる画像“The mimickers”の鑑別診断
症例紹介→診断→この疾患のmimicker(よく間違われるもの・紛らわしいもの)はこれ!
って感じで紹介されています。
臨床推論好きにはたまらない構成となっていますが、疾患の内容がややマニアックなものもあるような気がします。
18. MRIに絶対強くなる 撮像法のキホン Q&A
最後の最後に緑としましたが、
MRIって結局なにしてるの?
T1とかT2とか拡散強調像とかあるけど、何が違うの?
ADCとかSWIとか他にもあるけど結局なんなの?
という疑問に答えるものです。
MRIの原理というと原子とかスピンとかから始まってて一瞬で嫌になるのですが、そういう煩雑なのはサッと簡単に済ませられているのが良いです。
以上になります。
半分僕の趣味が入ってしまいましたが、どれも読んでて面白いものばかりです。
全く興味のない方は1番のみで良いのではないでしょうか笑
研修医が始まって頭部の本が欲しい、救外の画像診断の本が欲しい、ってなったときにまた参考になれば幸いです。